天守の窓の発展型として出窓があります。
採光のための他に、防御力アップの目的もあったようです。
今回はこの出窓について注目してみていきましょう。
出窓の形
天守にも出窓があります。
外壁の一部分を外に突き出させて、そこに屋根を付けたものが天守の出窓です。
この出窓には、正面だけでなく側面からも鉄砲などで攻撃ができるという利点があり、天守を守るためにはとても有効な窓です。
小型天守の場合
比較的小さい天守の一階中央に作られた出窓は、せり出した床の部分が石落としになっています。
出窓の屋根は、瓦葺の切妻破風か唐破風とするのが一般的でした。
この意匠は当時とても流行ったようで、三重櫓などでも使われた様式です。
大型天守の場合
三重以上の大型天守、それも望楼型天守の場合は大きな入母屋屋根の中央に設けられています。
入母屋屋根の内部は屋根裏部屋になっていますが、窓がないためとても真っ暗です。
そこで、採光のために作られたのが出窓です。
松江城天守などが例として挙げられます。
▲ 松江城天守。中央の三重部分が大きな出窓になっている。
装飾や格式の違い
出窓を付けると天守自体に凹凸ができ、表情が豊かになるため好んで取り入れられたようです。
そんな中にあって、丸岡城天守の出窓は逆にとても質素です。
一階に出窓があるのですが、白木の出格子に板葺きの短い屋根を載せています。
破風は付けられていません。
格式を重んじる天守にはとても珍しく、出窓の原型ではないかとも言われています。
▲ 丸岡城天守。写真の右のほう、一階中央に出窓がある。板葺きの質素な造りだ。
一方で、金沢城の櫓に付けられた出窓は派手です。
櫓の壁自体が海鼠壁になっていて優美ですが、そこに大きな唐破風を載せた出窓があり、表情が豊かになっています。
▲ 金沢城の復元された櫓。唐破風の載った出窓が表情を豊かにしている
防御性能としてはさほど変わらないと思いますが、このような違いがあるのはとてもおもしろいですね。
まとめ
暗い部屋を明るくするために出窓を効果的に用いられていました。
それが発展して、意匠の一つとして取り入れられていきました。
ということで、天守や櫓には採光のための出窓があるよというお話でした。
じゃあね🖐️
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