お城の基礎知識をテーマにした本はけっこうありますし、その一部に石垣のこと――いわゆる野面積み、打込接ぎ、切込接ぎや穴太衆など――が書かれた本も数多くあります。
また全国のお城を紹介する本はそれ以上にたくさん出版されていますし、うちの本棚にも数十冊はあると思います。
しかし石垣だけをテーマに1冊というのはなかなか珍しいです。最初、攻城団に写真の提供依頼があって、タイトルの「名城の石垣図鑑」から石垣の写真集かなと思っていたのですが、小和田先生が監修されているだけあって解説部分も充実しています。
前半は石垣の基礎知識(石垣の種類や作り方など)について、そして後半は全国各地にある文字通り「石垣の名城」の紹介について書かれています。
タイトルは「石垣の名城図鑑」ではなく、あくまでも「名城の石垣図鑑」なので石垣についての紹介がメインです。たとえば二条城のページでは二の丸御殿のことにはいっさいふれてなくて、天守台の石垣や外堀石垣の築城年代のちがい(慶長期と寛永期)について紹介されています。
お城好きの中でも石垣が好きだという方は多いと思いますが、その期待に応えてくれる1冊だと思います。
今回はこの「名城の石垣図鑑」を二見書房さんより5冊プレゼントをご提供いただきました!
応募は簡単にできますので、みなさんふるってご応募ください。
最後にこの書籍の編集を担当された笹島さんからメッセージをいただいたので、ご紹介しますね。
ちなみに紹介されている全国の75城は以下のとおりです。
- 江戸城(東京都千代田区)
- 金沢城(石川県金沢市)
- 名古屋城(愛知県名古屋市)
- 松前城(北海道松前町)
- 五稜郭(北海道函館市)
- 盛岡城(岩手県盛岡市)
- 仙台城(宮城県仙台市)
- 会津若松城(福島県会津若松市)
- 二本松城(福島県二本松市)
- 白河小峰城(福島県白河市)
- 松本城(長野県松本市)
- 上田城(長野県上田市)
- 甲府城(山梨県甲府市)
- 駿府城(静岡県静岡市)
- 弘前城(青森県弘前市)
- 九戸城(岩手県二戸市)
- 白石城(宮城県白石市)
- 唐沢山城(栃木県佐野市)
- 新発田城(新潟県新発田市)
- 高岡城(富山県高岡市)
- 福井城(福井県福井市)
- 丸岡城(福井県坂井市)
- 小諸城(長野県小諸市)
- 松代城(長野県長野市)
- 大垣城(岐阜県大垣市)
- 苗木城(岐阜県中津川市)
- 岩村城(岐阜県恵那市)
- 浜松城(静岡県浜松市)
- 相良城(静岡県牧之原市)
- 岡崎城(愛知県岡崎市)
- 大坂城(大阪府大阪市)
- 姫路城(兵庫県姫路市)
- 彦根城(滋賀県彦根市)
- 丸亀城(香川県丸亀市)
- 熊本城(熊本県熊本市)
- 二条城(京都府京都市)
- 大和郡山城(奈良県大和郡山市)
- 和歌山城(和歌山県和歌山市)
- 備中松山城(岡山県高梁市)
- 岡山城(岡山県岡山市)
- 広島城(広島県広島市)
- 鳥取城(鳥取県鳥取市)
- 松江城(島根県松江市)
- 萩城(山口県萩市)
- 高松城(香川県高松市)
- 伊予松山城(愛媛県松山市)
- 宇和島城(愛媛県宇和島市)
- 観音寺城(滋賀県近江八幡市)
- 福知山城(京都府福知山市)
- 丹波亀山城(京都府亀岡市)
- 丹後田辺城(京都府舞鶴市)
- 岸和田城(大阪府岸和田市)
- 高取城(奈良県高取町)
- 伊賀上野城(三重県伊賀市)
- 鳥羽城(三重県鳥羽市)
- 松坂城(三重県松阪市)
- 竹田城(兵庫県朝来市)
- 篠山城(兵庫県丹波篠山市)
- 明石城(兵庫県明石市)
- 洲本城(兵庫県洲本市)
- 津山城(岡山県津山市)
- 福山城(広島県福山市)
- 月山富田城(島根県安来市)
- 高知城(高知県高知市)
- 徳島城(徳島県徳島市)
- 今治城(愛媛県今治市)
- 福岡城(福岡県福岡市)
- 小倉城(福岡県北九州市)
- 佐賀城(佐賀県佐賀市)
- 人吉城(熊本県人吉市)
- 延岡城(宮崎県延岡市)
- 飫肥城(宮崎県日南市)
- 鹿児島城(鹿児島県鹿児島市)
- 首里城(沖縄県那覇市)
- 今帰仁城(沖縄県今帰仁村)
なお「プレゼントの抽選まで待てない!」という方はこちらからどうぞ。
皆様、はじめまして。『名城の石垣図鑑』の制作を担当いたしました笹島と申します。
本書はその名の通り、城を構成する様々な要素の中でも「石垣」に特化した一冊となっております。
皆様もご存じの通り、近年は城巡りがブームとなっており、各地の城を訪れる人の数は年々増加傾向にあります。土塁や空堀などの遺構から築城者の工夫に思いを馳せたり、天守や櫓など実存する建造物に触れて往時の歴史を体感したり……。城を巡る旅にはじつに様々な楽しみ方があり、我々城好きの心を惹きつけてやみません。御城印を集めているという方も多いのではないでしょうか。
城を訪ねるなかでまず目を奪われてしまうのは壮大な天守などの建造物だと思いますが、城の防御力を高めるうえで重要な役割を担っている石垣の存在を忘れることはできません。たとえば天下の名城と名高い熊本城の石垣は「武者返し」と呼ばれ、上に行くほど急勾配になるという独特の反りを持ちますが、これは敵が石垣をよじ登ってこられないようにした工夫です。実際に石垣を眺めるとその壮大さに圧倒されるとともに、機械もない当時にあれほど巨大で精巧なものを人の力だけで築いたという事実に驚かされます。
また、石垣というと一見同じように見えますが、石の加工方法や積み方がまったく異なっており、ひとつとして同じ石垣は存在しません。築城の名手として名高い加藤清正が築いた扇の勾配と呼ばれる石垣と、藤堂高虎が築いた反りを持たない直線的な高石垣のように、築城者の個性が大きく反映されたものもあります。いったいこの城の石垣は誰が、どのような技法で築いたのか。そういった情報を事前に得てから石垣を見ると、城巡りの楽しさが増すこと請け合いです。
本書では北海道から沖縄まで計75城の石垣について紹介しています。名城を支える石垣がどのように築かれているのか、どのような特色があるのかなどを細かく解説しておりますので、本書を読んで、先人の知恵に思いを馳せていただければ幸いです。