天守台や櫓の下には礎石という石が置かれています。
これは建物が重量がとても重くなるためです。
今回はこの礎石と土台というテーマで深掘りしていきます。
天守の基礎となるもの
平櫓や二重櫓、三重櫓などは比較的軽いですが、それ以上の高層建築である天守はとても重たくなります。
そのためその重量を支える礎石(そせき)の並べ方にも違いが見えてくるようです。
石を置いただけ
天守や櫓の礎石(そせき)の置き方は、現在の建物と比べるととても簡単です。
地面を少し突き固めて、平らな石を置いただけだからです。
礎石はおよそ60 cm 四方ぐらいの平たい石を使っています。
その礎石が天守や櫓の内側にのみ置かれています。
外側はと言うと、基本的には天守台や櫓台のような石垣上に直接立てられているため、礎石はありません。
櫓と天守では礎石の置き方が違う
重量の比較的小さい櫓では、室内の礎石は内部の柱の下にだけ置いてあります。
一方で天守は、一軒(約2m)の間隔でびっしりと礎石を並べています。
これは天守の重量を支えるためと考えられます。
天守は土台をうまく活用
天守は全ての礎石の上に柱を立てると、天守内部が柱だらけになってしまいます。
そのため生み出されたのが、土台をうまく活用するということです。
礎石の上に丸い丸太を置いてそれを土台にします。
柱は部屋の間仕切りに必要なところだけを選んで、先ほどの土台の上に立てます。
こうすると重量は柱から土台へと伝わり、力を分散させることができます。
そのため高層建築である天守は、とても安定的に維持することができるのです。
そして結果として柱の本数を減らすことにも繋がっています。
犬山城天守の場合
犬山城天守についても、同様の考え方で建設されています。
その構造がよくわかる場所
特に注目したいのは地下1階部分にある梁(はり)です。
天守台下から穴蔵を通って階段を上ると地下1階に上がります。
ここにとても太い梁があります。
これは、石垣に梁の両端が架けられ、穴蔵の上を橋のように掛けられています。
その梁の上に、何本も柱が建てられているのを見ることができます。
なぜこのような梁を架けているのかを一言で言えば、穴蔵があるからです。
穴蔵の部分に柱を立てて建物を建てようとすると、このような土台が必要となってくるのです。
礎石のある場所
天守台の礎石は基本的には見ることはできませんが、図面で確認することができます。
下の図は地下二階の平面図です。
これを見ると合計十個の礎石が並べられていることがよくわかります。
これは犬山城天守に見られる珍しいもので、穴蔵の地下一階部分の床を支える柱のための礎石です。
そしてここは、その礎石の一部を見ることができる場所でもあるのです。
このように、犬山城天守では礎石と土台の一部を見ることができます。
犬山城に行ったときには、「地下」が要チェックです!
他の城郭は?
最後に、他の城郭の例を見てみましょう。
天守台の礎石などは残っているところと残っていないところとあります。
よく残っているのが安土城の天守台の礎石です。
安土城天守台の礎石
織豊系城郭の初期の形としてとても参考になると思います。
穴蔵の跡には整然と礎石が並んでいます。
その上に碁盤の目のように太い木の土台を敷き、その上に天守を支える柱を建てたものと考えられています。
安土城に登ったら穴蔵の礎石もチェックポイントの一つですね。
まとめ
高層建築である天守の重さを支える基礎となるのは、礎石とその上に敷かれた土台でした。
なかなか見ることはできないかもしれませんが、安土城や犬山城などを訪れるとそれを見ることができます。
ということで、犬山城は礎石と土台を見ることができる数少ない現存天守、というお話でした。
じゃあね🖐️
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