大河ドラマが決定したことで、すでに多くの明智光秀に関連した本が出版されていますが、そのなかからとくにオススメの本をご紹介します。
できるだけ光秀についての最新研究が紹介された書籍を中心にこの記事では紹介していますが、これだけ有名な戦国武将であるにもかかわらず、明智光秀にはまだまだ不明な点も多く「本能寺の変」の動機についても諸説ありますので、複数の本を読み比べてみるのもおもしろいと思います。
いま読んでおくべき明智光秀関連本はこちら
最新研究をおさえておくならこの2冊
旧来の「残忍で革新的な革命児・織田信長」に対して「温和で保守的な常識人・明智光秀」の構図は後世による創作の要素が大きく、むしろ織田信長の研究が進むに伴って信長自身が保守的であることがわかってきました。一方でルイス・フロイスの記録に「刑を科するに残酷で、独裁的でもあった」とあるように光秀にも一般的な信長のイメージと重なる描写がなされており、どうやら信長と光秀は対立しているどころか、合理主義的な面などかなり共通点があるようです。
こうした最新の研究成果を学ぶのに適した関連本として、次の2冊をオススメします。
やっぱり公式本は見逃せない
NHK出版から出ているこちらのハンドブックには時代考証を担当される小和田哲男先生をはじめ、千田先生や柴先生などがコラムを寄稿されています。
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館の学芸員・石川美咲さんの最新研究の解説記事もわかりやすくてよかったです。
ネットで話題になってるのがこの本
ツイッターなどのSNSでは上記に挙げた本ももちろん話題になっているのですが、もう一冊だけ付け加えるなら「信長家臣明智光秀」です。
この本は資料が乏しく、根拠の薄い明智光秀の前半生を大胆にカットして、信長の家臣として使えるようになった以降の光秀のみ紹介していることもあり、高評価です。
ほかにもこんな本をオススメしてもらいました
攻城団に「マンガでわかる」シリーズを描いていただいている歴史漫画家の大久保ヤマト先生にも聞いてみました。
最新の学説などによって、作中の人物像は古びてしまいましたが、歴史時代小説として、今なお不朽の名作であることは変わりません。
まだ読んでない人がうらやましいくらい面白いです。
また攻城団でも多くのコラムを寄稿していただき、ご自身も歴史作家である榎本秋先生からはこんな本をピックアップしていただきました。
ほかにも攻城団には多数の光秀関連本のレビューが投稿されていますが、そのなかから福知山市が発行している「明智光秀の生涯と丹波 福知山城」を紹介します。
これは書店で購入できる本ではないのですが、「麒麟がくる」の時代考証をつとめられる小和田先生が監修されており、福知山城内の受付で購入できます。全ページフルカラーで図版も多く、光秀の生涯や「本能寺の変」の動機などいろいろなことが記載されています。
まとめ
近年、織田信長の研究や再評価が進んだことで、従来対象的な人物として扱われてきた明智光秀についても見直されつつあるようです。
前半生については土岐氏の庶流出身であるらしいとされつつも、出生年・出生地はともに不明で、これまでは足利義昭の「足軽衆」としての記載が同時代史料での初見とされてきました。ただし近年見つかった「米田文書」の「針薬方」に1565年(永禄8年)頃に近江高島の田中城に籠城した記録があるなど、新しい史料の発見でいろいろ解明されていく可能性もあります。
また「戦国最大のミステリー」ともいわれる「本能寺の変」の動機についても2014年(平成26年)に発見された「石谷家文書」などの研究で、単純な怨恨説や黒幕説ではなく、派閥争いや将来不安など複数の要因が重なって起きたとする説が有力となっているようです。しかしこれもまだ歴史学者の中でもさまざまな主張があるようなので、今回ご紹介した以外の先生が書かれた書籍もぜひ手にとってみてください。
みなさんが読まれた中でオススメの本があれば教えてください!
プレゼントのお知らせ
福知山城を訪問した際に「明智光秀の生涯と丹波 福知山城」を購入したのですが、家に帰って本棚をチェックしたらすでに持っていたので1名の方にプレゼントします。
福知山城でしか買えない本ですので、ふるってご応募くださいね!
(応募の締切は12月13日23:59です)