先日公開した御城印リストの記事はSNSでの反響も大きく、多くの方が御城印集めを楽しんでらっしゃることを実感しました。
そこで、御城印集めの魅力についてより深く知るために、全国52城の御城印を集めてらっしゃる御城印コレクターのKozさんにお話を伺いました。
(今回はメールインタビューです)
私の記憶ではこの頃、松本城、会津若松城、二条城、郡上八幡城の4城のみが御城印を出しており、100名城巡りよりもこの4城を優先して登城したいと思うようになってきました。そして、彦根城で築城410年祭の記念御城印が限定配布されたり、井伊の赤備えになぞられた赤い御城印が通常発売されたりしました。同じ頃、名古屋城や岐阜城、大垣城など有名な城でも次々と発売され、自分が車で訪問できる圏内で集中的に販売されたこともあり、私の中で御城印収集が城めぐりに欠かせない要素となってきて、今に至っています。
デザインの美しさで言うと、岐阜城のプレミアムフライデー限定御城印ですし、三英傑の家紋が入っている犬山城もインパクトがあります。もちろん一番最初に手に入れた二条城も気に入っています。
改めて持っている御城印を一枚一枚見た時に、御城印史上で一番盛り上がった日のことを思い出しました。それは平成から令和に変わった今年の5月1日です。名古屋城、高知城、彦根城、岐阜城、二条城など多くの城が改元記念の限定御城印を出しました。私もその日は開門前から二条城の行列に並び、何とかゲットすることができました。御城印を入手するのに長時間並んだのは初めてで、御城印ブームが来ているなと実感しました。
この前日に妻に二条城へ行ってもらい平成最後の御城印を購入してきてもらい、平成最後と令和最初の貴重な日付が入った御城印を入手することができました。この二枚一組の御城印が一番のお気に入りですね。
まず一つ目は、各城の御城印のデザインです。歴代城主の家紋が押してあるのがほとんどで、シンプルながらその城の歴史や特徴を表していると言えます。初めて見る家紋もあり、調べてみると城の歴史も学べます。
小田原城の御城印は後期大久保氏の家紋を使用されています。私は城について精通している訳ではないので、小田原城=北条というイメージを勝手に持っていたのですが、今の小田原城は後期大久保氏が大きく関わっていることを御城印を通じて初めて知りました。
限定版のデザインもよく考えられていると思います。佐柿国吉城が今年のゴールデンウィークに限定で販売した御城印は、その季節に城内で咲くシャガの花が背景にデザインされています。美濃金山城は桜で有名なことから、春限定御城印には桜の花びらが描かれています。珍しいので言えば水口岡山城はイベントでバルーンの天守を建てますが、今年はそのイベント時にバルーン天守のイラストが入った限定御城印を販売されました。
このように通常版とは違い、限定版は色々なアイデアを御城印に表現して、その城をアピールしているという面白さがあります。
和紙にこだわっている御城印も魅力的に感じます。郡上八幡城などが使用している「美濃手すき和紙」は来年の東京五輪の表彰状に使用されます。他にも高知城は土佐和紙、月山富田城は広瀬和紙、郡山城は石州和紙を使用するなど、地域の伝統を活かされている所も多いです。これは御城印が書き置きだからこそできるアイデアで、うまく考えられたなと感心しています。
京都で言えば、西陣織で作られた御城印帳なんかが出てくれば、面白いなと思います。
最後に、御城印が欲しいという目的のために、行く予定がなかった城にわざわざ訪れる理由を作れるという点です。これは御城印自体の魅力という話とは少しかけ離れますが、私はこれが御城印を収集する一番の魅力だと思っています。
例えば、ここ数年で苗木城の人気が高まっていますが、私は当初、苗木城までは遠くてアクセスしにくいし、山城で体力使うしと躊躇していましたが、御城印が発売されると聞いて昨年の8月に登城してきました。暑い日でしたが見応えのある城で本当に行ってよかったと思えました。今年のゴールデンウィークも限定の御城印を求めて2度目の登城をしてきました。これは明らかに御城印きっかけの登城で、御城印が販売されていなければ、こんな面白い城なのに今もまだ行っていないと思います。足助城、妻木城、若桜鬼ヶ城などのあまり全国的に有名でない城へも登城しましたし、一度登ってもう次はないかなと思っていた丸亀城にも再登城しました。あの坂をまた登るのかと思うと挫折しそうでしたが、御城印のためと気合いを入れて登りました!
御城印帳の半分が埋まる頃、次は限定御城印も狙ってみて下さい。令和元年限定、プレミアムフライデー限定、築城○○年記念などかなりの種類があり、同じ城でも全然違う御城印がいただけます。9月から美濃金山城で秋限定バージョンが発売されますし、10月からは岡崎城で再建60周年を記念する特別御城印が販売されるようです。このように特定の時期しかもらえない限定版を収集するのも面白さの一つだと思います。
ガイドブックが発売されるほど、御城印はブームとなっています。ここまで広がれば一過性ではなく長く続けられる趣味として楽しめると思います。今からはじめられる方も多くおられます。マイ御城印帳を持参してお城めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。
お話を伺ってみての感想
冒頭に掲載させていただいたKozさんのコレクションの写真を見ても、御城印は日本100名城のスタンプよりもひとつ一つのオリジナリティがあるので集める楽しさがより大きくなるような気がしました。
限定版という存在もたしかにリピーター促進につながる可能性がありますし、「書置きだからこそ地元の和紙を使った御城印をつくれる」という視点はぼくにはなかったので、なるほどなと感心しました。
また御城印に押された家紋を通じて、そのお城の歴史を学ぶきっかけが得られるのもいいですね。
Kozさんもコメントされていたように小田原城の御城印には北条氏の家紋「三つ鱗」ではなく、大久保氏の家紋「大久保藤(上り藤に大文字)」の朱印があります。こういうところから歴代城主を知り、興味をもつことはたしかにあるだろうと思いました。
御城印はいまもどんどん増えているし、すでに入手不可能になっている限定版もありますから、コンプリートは最初から無理だとわかっていることもマイペースで楽しめる要因かもしれません。
「現地にお金を落として貢献したいけど、ほしいお土産がない」という方にとっても、ちょっとした記念グッズとして御城印は手頃でいいと思います。買っても買わなくてもいいので、一度現物をチェックしてくださいね。
攻城団がまとめている(随時更新中)御城印のリストはこちら。